CRAFTSMAN STORY

坂口 光太郎:試作オペレーター 1998年入社
松本 俊哉:生産オペレーター(当時試作オペレーター)2004年入社
畔上 貴行:開発スタッフ 2006年入社
三園 崇寛:生産技術スタッフ 2006年入社

ヘッド交換式エンドミル「iMX」

ものづくり魂が生んだ、革新的な締結機構

ヘッド交換式エンドミル「iMX」シリーズの開発がスタートしたのは2001年。現在発売されている製品とはまったく異なる形状の試作からだった。強度、剛性、切削性能の全てを最高レベルで完成させるためにたどり着いたのは、「超硬と超硬の2面拘束」。しかし、それを実現するには新たな技術の確立が不可欠だった。新技術の確立に挑んだ開発、生産技術、試作オペレーターの4人に話を聞いた。

開発の背景について教えてください。

畔上:
エンドミルは大きく2つに分類することができます。刃先交換式エンドミルとソリッドエンドミルです。刃先交換式エンドミルは、インサートを交換するだけで切れ刃を新しい状態にできるため非常に経済的で、インサートの材種や形状を変えることで手軽にさまざまな加工に対応することができます。一方、ソリッドエンドミルは切れ刃と工具本体が一体で形成されるため高剛性、高精度であるという特長があります。それぞれの長所を融合させた工具を完成できればお客様にメリットが生まれると考え、2001年に新製品の開発がスタートしました。
私が入社する5年前のことですが、当時の締結機構はテーパ面の接触のみでヘッドを支えており、強度や剛性、切削性能において信頼性に欠けるものでした。試作と評価を繰り返す中で、それらを最高レベルに引き上げるために締結機構に超硬と超硬の2面拘束を採用するという結論に達したのです。
正直、当時は「そんなものが作れるのか?」という挑戦的な目標でした。

三園:
超硬で締結機構を構成する上で、ねじ部まで超硬で製作するとヘッドをホルダに締め付けるだけでねじが破断してしまうことが分かり、破断に強い鋼製のねじを超硬に強力に接合する技術も同時に開発することとなりました。

超硬と超硬の2面拘束とはそんなに難しいことなのですか?

畔上:
はい。iMXシリーズに採用している2面拘束は、テーパ部を弾性変形させ、ヘッドとホルダの端面同士を接触させています。
超硬はその名の通りとても硬いものというイメージを持たれますが、同時にガラスのようにもろいものでもあります。例えば、プラスチック板はある程度曲げても元の形に戻りますが、ガラス板はすぐに割れてしまいます。同様に超硬も破壊されるまでに弾性変形できる量が非常に少ないため、「ヘッドをホルダに取り付けるだけで、ホルダが壊れてしまうのでは?」と考えられていました。そこで、ホルダには通常切削工具には使われない、超硬の中でも破壊に強い材種を採用しました。

松本:
ホルダの試作時には、ホルダの端面を1μmずつ研削し、寸法を調整しました。設計通りの寸法を完成させて締め付け実験を行うと、2面拘束状態の時は弾性変形によってホルダの外径が締め付ける前より数μm太くなっていることが確認でき、「本当にできた!」とみんなで喜んだのを今でも覚えています。

三園:
2面拘束の締結機構を量産するには、それまで不可能と思われたような寸法公差を設定し、安定して加工する技術が必要でした。そのため、加工機、測定機、加工方法などあらゆる分野で可能性を探り、量産技術を立ち上げました。

坂口:
量産立ち上げの時は、開発からの厳しい要求があり、製造と開発の仲がギスギスしていました。

全員:
(笑)。

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接合技術について教えてください。

三園:
iMXシリーズは鋼と超硬を特殊な方法で接合させており、それが製品の特長でもあります。当社のような超硬工具とハイス工具を生産するメーカーにとって、超硬と鋼を安定的に高強度で接合させることは長年の研究テーマでした。ハイス工具ではシャンク部と切れ刃部にそれぞれ別の鋼材を選定し、接合する技術が昔からあったためです。開発した接合方法を量産に適応させるのは非常に難しく、これまで明石製作所にはなかった、なじみのない機械の選定・立ち上げからのスタートでした。スムーズに量産するにはハード面での改造も必要であり、苦労しました。

畔上:
ねじに使っている鋼部品の材種、超硬素材の形状についてはさまざまな試行錯誤を行い、数百個単位での接合テスト・引張り試験を繰り返し、接合強度を確保しました。試験のオペレーターに「これなら安心して使える」とコメントをもらった時は本当にうれしかったですね。

坂口:
締結部の量産技術確立に時間を要し、また発売日をJIMTOF2012に設定したため、切れ刃部の試作に当てられる時間はわずかでした。限られた時間の中で、夜な夜な試作・切削試験を繰り返しました。他の仕事と特急の試作を両立するのは大変でしたが、お客様にメリットが生まれる新製品の開発に大きなやりがいを感じました。

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お客様に向けてメッセージをお願いします。

畔上:
2012年の発売以降、ソリッドエンドミルからの切り替えに成功したお客様もいらっしゃいます。高い強度を持ったヘッド交換式エンドミルですので、ぜひお使いください。

三園:
今後もお客様に高品質の製品をお使いいただけるよう、高精度加工技術を維持していきます。当社の最新技術を詰め込んだ製品です。
ぜひお試しください。

坂口:
現在もお客様のニーズにお応えしシリーズ展開の開発を進めています。今後の新製品にもご注目ください。

松本:
標準品だけでなく、特殊品などについてもお客様のご要望に迅速に対応させていただきます。今後ともiMXシリーズをよろしくお願い致します。

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