HISTORY OF MITSUBISHI

三菱三綱領

受け継がれる三菱のDNA

三菱マテリアルの発端は、三菱グループの起源である九十九商会において、1871年、三菱の創始者・岩崎彌太郎が炭鉱・金属鉱山事業を手掛けたことにあります。その後三菱は、岩崎彌太郎から弟の彌之助、彌太郎の長男の久彌、彌之助の長男の小彌太へと四代にわたり事業を拡大していきます。その歴史を振り返ると、いつの時代にも連綿と引き継がれてきた共通の心がありました。それを端的に表したのが「三菱三綱領」です。今回は、2011年に「三菱グループ各社の活動の道標」として約650社にも及ぶ三菱グループ共通の経営理念となった「三綱領」をご紹介します。

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其の一 【所期奉公】

「事業を通じ、物心ともに豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する」

 四代目社長、岩崎小彌太は第一次大戦中の1916(大正5)年から第二次大戦直後の1945(昭和20)年まで、29年にわたって三菱を率いてきました。彼は「事業経営は私利の追求を第一義とするのではなく、常に国家的事業観に立つべきだ」とさまざまな機会に明快に訓示しました。これこそ岩崎彌太郎、彌之助、久彌そして小彌太の、各社長に引き継がれてきた三菱の精神でした。

 「…生産活動は国の最も重要な活動の一つである。それは、国力にかかわることであり、経済のみならず社会文化の繁栄に影響を及ぼすことである。生産活動に携わっているわれわれは、国から極めて重要な任務を任されているともいえる。よって、事業の究極の目的は『国のため』にすることであって、その目的達成のために最善の努力をするということがわれわれの理想でなくてはならない」(大正9年、三菱鉱業臨時場所長会議における告辞より)。

 岩崎小彌太は、大正から昭和にかけての日本の資本主義経済の成長過程にあって、期するところは社会への貢献なのだという確固たる経営哲学を持っていました。今日の私たちの豊かな生活が結果として地球環境を破壊してきたことも事実です。そうであれば、三菱各社はこのかけがえのない地球環境の維持・修復に貢献するとともに、物質的のみならず精神的にもさらに豊かな社会を実現することを目指すべきでしょう。それが「所期奉公」の今日的意味です。


其の二 【処事光明】

「公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する」

 処事光明とは、何事であれフェアー・プレイに徹することです。事業経営において、不当な利得を得てはならないということは、初代岩崎彌太郎社長はじめ歴代の社長が繰り返し述べてきました。特に四代目岩崎小彌太社長は、ことあるごとに、正義を守り誠実を旨とし、儲けんがため安易に投機に走らぬよう、訓示してきました。そして、いかなる行為であれ正々堂々としたものでなければならないと説いています。

 「…企業の社会的地位も高まり企業が国の発展に大きくかかわるようになった今日、人々のモラルがかえってダウンしたように見えるのはまことに遺憾なことである。企業人は、物の考え方や言動において人々の模範でなければならない。…何事に当たっても大切なのは公明正大であることである。一発狙いや社会正義に反する手段で成果をあげようとすることは恥ずべきことである…」(大正4年、当時副社長岩崎彌之助。三菱倶楽部の会誌への寄稿「倶楽部に対する希望」)。

 自由な創意に基づく公正な競争が市場経済の大原則ですが、法を守ることはもちろん、庶民感情や国際社会の慣習にも当然配慮すべきです。常に公明正大で品格のある行動を心掛けるとともに、企業活動の透明性・公開性を図ることを忘れてはなりません。


其の三【 立業貿易】

「全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る」

 近代日本にとっての最大の課題は国際社会にどう適合していくかということでした。グローバルな視野を持つこと、それは初代岩崎彌太郎社長の創業時からの基本姿勢でした。1941年、太平洋戦争勃発2日後に三菱各社の幹部を前にして四代目岩崎小彌太社長は、「不幸にして国と国とは戦争になってしまったが、三菱が今日こうあるのは米英の提携先のお蔭であるから、彼らの身辺と権益を守らなければならない」と述べました。時代背景を考えると、これは驚くべき、勇気ある発言でした。

 「…国が(英国や米国のわれわれのパートナーの事業や資産に)法的な措置をとることは当然あるとしても、これまでに培われたわれわれの信頼と友情が損なわれることがあってはならない。法律の許す限り彼らの身辺と権益を守ることは、人の道を大切にする日本人の情義であり責務である。…いずれ平和が再び来たならば、彼らと協力して世界の平和や人類の福祉に貢献するときが来るであろう」(昭和16年、三菱協議会における演述)。 三菱創業以来の基本姿勢に、「義を重んじること」があります。戦争のさなかにおいてもなおグローバルな視野に立ち信義を重んじた三菱のこの姿勢こそ、創業以来の“三菱の心”の表れと言えます。三菱マテリアルを始め、三菱グループはこれからも「三菱三綱領」の思いを胸に、さらなる未来へと歩んでいきます。

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協力・写真提供/三菱史料館

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