FOCUS on PERFORMANCE

フィアット・クライスラー・オートモービルズ

FCA Verrone工場

FCAグループと三菱マテリアルのパートナーシップ

三菱マテリアル(MMC)は、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)グループという、欧州の中でも特に由緒ある自動車メーカーのお客様の要望に対し、徹底的にカスタマイズした幅広いソリューションを提供することで、強固なパートナーシップを築いています。

FCAグループの全てのブランドを提供するFCA Verrone工場

 FCAグループのイタリアにおける生産拠点であるFCA Verrone工場は、豊かな森や水田に囲まれた北イタリアのピエモンテ州のヴェッローネにあります。ガソリン車とディーゼル車用向けに、マニュアルトランスミッションとデュアルクラッチトランスミッションの両方を製造。3,000平方メートルの倉庫を含む60,000平方メートルにも及ぶ広大な工場で、グループ内の全てのブランド(フィアット、アルファロメオ、ジープ、クライスラー、ダッジ)を提供しています。

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FCA Verrone工場長 レオナルド・ロッスィ氏(左)
MMC Italiaのゼネラルマネージャー マルコ・リモルディ(右)

2015年に、ワールドクラスマニュファクチャリング(WCM)でゴールドレベルを受賞

 FCA Verrone工場は、2015年にAutomotive Lean Production Award(ドイツにおける自動車分野で権威ある賞)にて国際的な賞を受与されたことに加え、さらに同年にWCM(World Class Manufacturing)でもゴールドレベルを受賞するなど、極めて優れた生産効率を実現しています。受賞の対象となったのは、2007年から世界的に売り出したフィアット、クライスラー、CNH、イヴェコの全ての工場を対象としたFCAグループの改善プランです。WCMは、TPM(Total Productive Maintenance methodology-総合的生産管理)、リーン生産(Lean Manufacturing-論理的かつ効率的な生産)、TQM(Total Quality Management - 総合的品質管理)の3分野からのアプローチであり、製造業の経営における10本の柱と、技術における10本の柱(①Safety - 職場の安全、②Cost Deployment - 無駄と損失の分析、③Focus Improvement - 特定の問題の重点的な改善、④Autonomous Maintenance and Workplace Organization - 作業員の自主的行動、⑤Professional Maintenance - プロフェッショナルメンテナンス、⑥Quality Control -品質チェック、⑦Logistic/Customer Services - 物流と顧客サービス、⑧Early Equipment Management, Early Product Management - 作業手段獲得戦略、 ⑨Energy and Environment - エネルギー効率・環境および天然資源の利用、 ⑩People Development - 人材育成)に基づいたものです。中でも特に重要な項目は、生産工程における損失と無駄を突き止めるための分析を指す②Cost Deploymentです。これは、経済的影響力に基づいて考慮され、事故ゼロ、廃棄物ゼロ、故障ゼロ、売れ残りゼロなどを目指し、工場全体のコストを削減することを目標としています。「我々はこの受賞にとても満足しています。WCM受賞は我々の経営における全面的な改善が実った証であり、工場全体のあらゆる面において相互に機能し、人材の育成を含めた全ての分野に刺激を与えるものです。ゴールドレベルを獲得することは、全ての分野の改善が成熟したことを意味します」と工場長のレオナルド・ロッスィ氏は話します。また、FCA Verrone工場では、エコロジーと環境に配慮した高い生産性とを両立しており、実際に、同工場はティチーノ公園の自然保護区 "Le Baraggie”内にあるのです。

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FCA Verrone工場

FCAグループがMMCを選んだ理由

 FCAグループは、「高い生産効率を可能にする切削加工技術のノウハウを多く保有し、チームワークが特に優れている」という理由からMMCを選び、その存在は、WCMのゴールドレベル獲得に不可欠となりました。MMC Italiaのゼネラルマネージャーのマルコ・リモルディと、ロッスィ工場長は、工具を提供する側と使用する側において、将来に向けて双方が果たすべき役割について話し合い、合意しました。「MMCから提供されたソリューションは非常に実用的で、結果に対する軌道修正も容易でした。全ては加工機の能力を最大限に活用することを目的に、工具自体のコスト削減に限らず、生産システム全体において利益を最大化するという点で大きな効果がありました」とロッスィ工場長は断言します。

 FCAグループとMMCのパートナーシップは、最新工具の提供を含めた技術的なソリューションの確立にとどまらず、FCAグループスタッフのトレーニングにまで拡大しました。そのユニークなトレーニングプログラムは、 まるで完璧なオーダーメイドスーツのようにFCAグループの想いを形にし、各工場のニーズに応じて最適にカスタマイズされています。

 MMC Italiaのキーアカウントマネージャーのダニエーレ・ラメッタ、テクニカルサポートのマルコ・ジャンニーニと、FCA Verroneのプロセスインプルーブメントマネージャーのガブリエーレ・ライアーノ氏、トレーニングコースの実施責任者であるノウハウエンジニアのマウロ・ベルトラーメ氏の4名の共同作業により、2017年5月にFCA Verrone初となるトレーニングコースが導入され、これに参加した40名から大変高い評価を受けました。「このコースは、FCA Verroneにおける主要加工材料である鋼に焦点を絞って、旋盤加工における切削技術に関するノウハウを提供することでした」とMMC Italiaのテクニカルサポートのジャンニーニは言います。MMCに求められたのは、コースへの参加者は年齢もさまざまであり、各々異なる経験や知識を持っていることから、受講者全員の知識レベルを標準化し、全員が一定レベルの技術的理解に至ることでした。主な内容としては、インサートの製造方法、ISOコードに基づく工具名称の意味、正しい工具を選択するための基礎知識といったごく基本的な内容から、若干の応用的な内容として、一般的な鋼を加工する際の『ソフトターニング』と、熱処理した鋼を加工する『ハードターニング』に関する説明も加えています。

 このように、一定の集団を対象とした標準的なトレーニングも大きな効果がありましたが、最も成果があったのは、受講者の個人レベルに沿ったパーソナルトレーニングでした。「各人のスキルに合わせたコースをつくることができたのは、両社の素晴らしいコラボレーションの結果であり、参加者はとても満足していました。現在は、さらに高度なスキルを希望するスタッフのためのコースも企画しており、この取り組みは順調に軌道に乗ってきています」と、エンジニアのベルトラーメ氏は話してくれました。また、ロッスィ工場長は次のように付け加えます。「我々は工具のパフォーマンスに特に注意を払っています。優れたパフォーマンスは、加工コストを下げるだけでなく、加工効率の向上にもつながるからです。工具寿命をより長く、より安定させることで、我々はさらに高い目標を追求することができるのです」。

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MMC Italiaが提供するトレーニングコース(MMC Italiaの テクニカルサポートのマルコ・ジャンニーニとキーアカウントマネージャーのダニエーレ・ラメッタ)

FCA VerroneがMMCと提携することで得られた成果

 両社の提携の強みは、双方の技術者と責任者を交えた継続的な話し合いの場を持っていることに加え、問題の本質に触れて解決策を検討するため、共に生産現場に立ち会えることです。

 「我々はMMC Italiaのキーアカウントマネージャーに会い、旋盤加工の工具寿命を30%延ばすことを要望しました。我々は共に机を囲んで、採用すべき解決策を考え、ボーリングバーの改良案を検討し、一週間という短期間で全ての準備を整えました。実際にテスト加工を行った結果、なんと工具の寿命を50%以上まで延ばすことに成功したのです。これが違いというものです」とライアーノマネージャーは笑顔で話します。さらに、「自身も直接テストに立ち会い、それらの信頼性とパフォーマンスを高く評価しました」と、FCAのツールスペシャリストのパトリツィオ・ララー氏が加えます。「柔軟にカスタマイズされたトレーニング、高い生産性を可能とする製品と技術サービス。これらが私にとってMMCを言い表すキーワードです」と、ロッスィ工場長は言います。解決すべき課題を特定し、それらに対し論理的な思考をもとに最善の解決策を見つけ出すことができる、これこそMMCとFCA Verroneが提携する最大の強みなのです。

 「工場において加工効率の追求と改善スピードの向上は不可欠です。ある課題が生じた場合、我々は長い時間を費やす解決策を取ることはできません。素早く課題を解決したいとき、標準的なやり方では不可能なことを我々は知っています。MMCと共に進めてきたプロジェクトはそれを証明するものとなりました」とロッスィ工場長は今日までの取り組みを振り返ります。

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チームスピーカーに対する特別なトレーニング

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左からFCA Verrone マウロ・ベルトラーメ氏、
ガブリエーレ・ライアーノ氏、
パトリツィオ・ララー氏、
MMC Italia ダニエーレ・ラメッタ

 MMCがとFCA Verroneに提供するトレーニングでは、特にチームスピーカーという生産現場の鍵となる人材を重要視しており、同工場では将来を見据え、チームスピーカーの育成に多額の資金を投じています。

 「チームスピーカーとはFCA Verroneで始まった取り組みですが、後に他の工場にも広まりました。ボディーの製造工場に存在しているチームリーダーと区別するため、また彼らとは異なる専門性を持つことを強調するため、チームスピーカーという呼び方をしています。チームスピーカーは、切削加工現場で働く作業員の中から、最も適した人材が選ばれ、あらゆる場面で生産現場の責任者と加工オペレーターの仲介役となれるよう、基礎的な工具知識と加工に関する十分なノウハウを持ち、さまざまな話ができるように広範囲に及ぶトレーニングを受けます。このように、最適な人材に最適なトレーニングを行えたという点で、MMCのコースはとても有用でした。全ての作業員を高いレベルにさせることは不可能だと理解しています。WCMは能力と専門性に応じて人材を異なるカテゴリーに分類することが重要であり、これにより各プロジェクトに必要な能力を持ったメンバーを選ぶことができます。我々は、高度な問題には高いスキルを持った専門家が対応し、通常の問題であれば現場の作業員がその場で直接解決することを求めています」とロッスィ工場長は話します。

 「現在は、量・質共にさらなる改善を加えた新たなトレーニングコースをMMCに依頼しています。量的な観点では、できる限り多くの作業員に対し基礎的なコースを効率良く提供し、また質的な観点では、実践的で応用的な内容を多く含んだ具体的かつ専門性の高いコースを提供したいと考えています。最終的な目標は、できるだけ多くのスタッフの専門性を全体的に高めることです。起きた現象を正確に把握し、一般的な現象であればその分析もその場で行え、現象に影響を及ぼすプロセスとパラメーターをも理解でき、工具メーカーとの情報交換に必要な専門用語を全員に習得させていきたいのです」とライアーノマネージャーは言います。

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FCA VerroneがMMCに期待すること

 MMCがFCA Verroneに提供する全ての価値は、トレーニングコースに代表されるように、徹底的にカスタマイズされています。「MMCのレポートは社内での情報共有に非常に役立っています」とベルトラーメ氏はその取り組みを評価します。これに対し、MMC Italiaのキーアカウントマネージャーのラメッタは「レポートの書式も一緒に決定しました。なぜならコミュニケーションは最も重要な製品だからです」と応えます。情報の共有は、工場の強みである効率化とスピード化の目標を達成するためにとても重要であり、生産の全ての状況をスマートフォンから直接チェックすることができるアプリの開発にも着手しています。

 MMCとFCA Verroneの提携は、工具を提供する側と使用する側という関係性において、明るい未来へとつながっていきます。「MMCに期待していることは、切削加工技術の発展に伴い、彼らが培ってきたノウハウを共有してくれること。また、製品だけでなく、最適なソリューションを迅速に我々に提供し続けてくれること。そして、基礎と専門の両方におけるトレーニングを支えてくれることです」と、ロッスィ工場長は言います。

 また、ライアーノマネージャーは次のように付け加え、取材を締めくくりました。「長年MMCのことは知っていて、過去に海外でも一緒に働いたことがあり、好印象を持っていました。イタリアでのMMCの強みはサービス力、反応の速さ、工場でのテストを見守る熱心さです。ときには工具メーカーであるMMCが対応すべき範囲を超えているかもしれないような問題であっても、解決するために尽力してくれました。そのような姿勢がこの先においても継続されることを期待しています」。

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