EYE on MARKET

技術革新著しい再生医療機器

再生医療機器産業を取り巻く環境

 再生医療は、病気や外部要因、加齢などによる生体の機能低下を回復する分野です。再生医療市場は、従来は欧米が市場の中心でしたが、世界の人口の半数以上を占めるアジア地域も有力市場として注目されています。アジア地域は経済成長が著しく、高齢化と生活水準の向上により、再生医療に対するニーズが飛躍的に拡大しているためです。さらに将来的にはアフリカも有望市場として期待されており、これらの理由から、再生医療市場は、今後も安定した成長が予測されています。

世界の人口予測

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出典:United Nations,World Population Prospects 2017

 再生医療は、生体代替と生体再生に大別されます。生体代替とは、人工関節や人工骨などの人工物により人の一部を直接的に置き替えることで、一方、生体再生は、生体組織・臓器の再生を体内で誘導・促進することで、失われてしまった機能の回復を図る再生方法です。生体代替に利用される機器を代替機器といい、需要の大きいアジア地域では、従来型の代替機器が拡大すると予測されています。3Dプリンターを活用した医療技術(手術機器・インプラント含む)も一部実用化され始めているものの、3Dプリンターによる代替機器の製造は従来の製造方法と比較して初期投資コスト・材料費・製作時間で優位性が低く、大幅な進展は見込めない状況です。

 一方、日本と欧米の高齢化は医療費の拡大が財政を圧迫し大きな社会問題となっており、トータルコスト低減に向けた医療技術の研究開発が進められています。最新技術としては、生体再生技術が注目されており、生体適合性に優れ、かつ安全で患者への負担の少ないiPS細胞による治療技術が実用化されつつあります。しかしながら、この分野では、医療制度(保険制度・認証取得)整備と医療機関の技術力向上が課題となっています。

主要国高齢化率推移予測

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出典:United Nations,World Population Prospects The 2015 Revision

生産性向上・コストダウンへの高まる要求

 代替機器は、一般の部品加工に比べて切削工具による機械加工の比率が高い分野です。被削材料についても、チタン合金・ステンレス合金・コバルトクロム合金に加え、セラミックスや炭素繊維(CFRP)などの難削材が増加する傾向であり、新素材開発も進められているためさらに難削化すると予想されます。このような状況下、先端医療技術で先行する大手医療機器メーカーでは、新規マーケットへ参入するための研究開発費の負担が大きくなっています。そのため、切削工具メーカーへも激化する需要獲得競争とコスト競争への対応として、生産技術改善による市場ニーズに合った、製品の切削加工技術向上とコスト低減への要求が高まっています。

代表的な代替機器

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代替機器市場予想

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出典:大手医療機器メーカーAnnual report からの当社予測
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医療産業へのトータルソリューションの提供

代替機器加工で活躍する切削工具

 代替機器は、航空機部品と同様に難削材(コバルトクロム合金・チタン合金・ステンレス合金)が多く使用されます。そのため、工具寿命が非常に短く、切削工具の寿命改善への要求が高い分野です。当社は、素材から完成品までの全プロセスにおける工具開発を行うことで、代替機器部品加工で特に耐摩耗性が要求されるコバルトクロム合金の加工や特に加工能率の悪い小径深穴加工等で工具寿命と加工能率を向上させる製品を商品化してきました。また、ターニング・ドリリング・ミーリング工具とラインナップも充実しており、トータルツーリングに対応可能な数少ない切削工具メーカーとして、代替機器の主力市場である北米市場を中心に、多くの医療機器メーカーにおける難削加工で高い評価を得ています。

トータルツーリング

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改善事例

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提案力強化による顧客満足度向上への取り組み

 近年の切削加工を取り巻く環境は、大きく変化しつつあります。ターニング・ドリリング・ミーリング加工といったさまざまな加工を必要とする複雑な医療部品を製作するために、複合加工機や5軸加工機が活用されています。これによる、加工の生産性向上と省人化により、コスト低減が加速しています。この変化に伴い、加工技術がより複雑化し、形状・素材・コーティング開発といった切削工具そのものの性能向上のみでは、実加工での改善や加工技術開発の提案が難しくなってきました。そのため現在では、切削工具・工作機械・CAM・解析等を活用したトータルソリューション力が求められています。

 医療部品の進化や開発、生産拠点のグローバル展開を効率的に短期間で行うには生産技術力が最も重要なポイントとなります。当社は、テクニカルセンターに最新の複合加工機(含む小型自動盤)と5軸加工機、各種CAMを導入し、さらに工作機械メーカーやCAMメーカーと連携した、新しいトータルソリューションや解析技術を活用した高度な提案力の強化に注力しています。今後も三菱マテリアルは代替機器分野でお客様目線のグローバルなトータルソリューションを提供できる総合切削工具メーカーを目指して参ります。

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