EDITORIAL


 医療と工具、すぐに関係を浮かべられる人は少ない。入社して、超硬工具部門に配属され、最初の講義を思い出すと、リンゴの皮をむくナイフの絵があった。リンゴは被削材、ナイフが工具と教えられた。このことを医療分野に想定して単純に置き換えると、被削材は人体で工具がメスとなる。では、メスのことを語るのかとなると、現在の医療産業向け工具は、異なるものである。医療機器の製造工程で使用される工具、人体に埋め込まれる治療用部品の加工用工具、保持器具の加工用工具など、やはり工具の活躍の場は、幅広い。
 数年前、義母が腰の病になった。手術の説明に立ち会った際、執刀医師の話“小さなプレートをあて、ネジで固定します。材質は、チタンという腐食しない…”を真剣に聞きながらも“この部品ももしかすると弊社工具で、いややはり競合他社の…と”職業病が顔を覗かせる。病気や怪我の治療に役立ち、人々の痛みを解消し、少しでも快適な生活を過ごすことへ微力ながら貢献していることは、誇れることである。患者さんのことを考えると諸手をあげてとはいかないが、工具メーカーとしては、ワクワク感が増してくる。これからも医療の進化に、ベストなソリューションとサービスを提供する工具工房を目指して。

三菱マテリアル株式会社 常務執行役員
加工事業カンパニー プレジデント

鶴巻 二三男

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