CUTTING EDGE

課題を見える化し、加工改善へと導く解析技術

工具開発で培ってきた解析ソリューションをお客様へ

開発本部 加工技術センター ソリューショングループ 田中 洋光

 三菱マテリアルの加工技術センターでは、切削試験やCAMを活用した加工方法提案、電話相談、講習会、技術サービスなど、多岐にわたるソリューションを提供しています。その中で注力している取り組みのひとつが、商品開発の中で培ってきた解析技術を活用した解析ソリューションです。解析情報は製造現場における品質改善や能率向上に貢献するとともに、加工におけるトラブルなどの不安要素を事前に取り除き、速やかな問題解決への道標としても大いに役立ちます。しかし、さまざまな制限からお客様側で切削負荷やワークの変形などの加工状態を正確に把握することは困難です。そこで、主に剛性解析、切りくず解析、切削負荷解析の3つの手法を用い、工具メーカーとして培ってきた解析技術と各工具の専門家の経験を組み合わせ、より優れた加工プロセスを実現する改善提案を行っています。

 解析ソリューションの中でも、特に多くご活用いただいているのが切削負荷解析で、加工部位・工程に対する切削負荷(主分力・背分力・主軸動力等)を可視化するものです。高能率な切削加工を実現するには工具の特徴をしっかりと把握することが重要であり、中でも切削負荷を把握することは高能率加工のカギを握るといっても過言ではありません。しかし、我々のゴールはあくまでも解析することだけでなく、切削加工条件の最適化に向けたお客様への“提案の質”を高めることです。例えば近年のCAMソフトには切削負荷を一定化したカッターパスを作成する機能が組み込まれていますが、自動的に作成されるカッターパスだけでは多岐にわたる工具・材料の特徴について考えることができず、必ずしも実際の加工に対して有効でない場合もあります。より正確な切削負荷を計算し、切削負荷によるワーク・治具等の変形を解析したら、次に加工時間をいかに短縮するのかなど、改善案を複数比較する中で最も優れたものを提案するよう心掛けています。

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解析データの先にある、改善提案の質を高めていく

 通常、各種解析では対象物の3DモデルやNCプログラム等の情報を、お客様から提供していただく必要があります。最初から必要な情報が揃っている場合は少なく、社内の連携を密にしながら必要な情報をご提供いただき、スムーズな解析作業への着手を心掛けています。実際に解析作業を担当している小坂は、解析業務の面白さについて次のように話します。「お客様から『こんな状況で、こういうところが困っている』とご依頼いただいた際、まずは、その内容にフォーカスし解析を実施します。しかし、本当のスタートはそこからで解析結果から、なぜこの結果になるのか?という疑問を持ち、それを解決する着眼点をいかに見つけられるかが重要です。実際にお客様がお持ちの課題に対し、自身の疑問がデータに裏付けされた理論的なご提案につながり、ビシッと解決に導けたときは本当に気持ちが良いです。解析の結果だけで比較するだけではなく、ソフト頼りだけでもない。原因と結果を追究する面白さがあります」。

 2017年には、リバースエンジニアリングや伝熱解析などの新技術を採り入れ、より幅広い課題に対応できる体制を整備。同時に、解析事例を蓄積し、実測値とも比較する中で解析値そのものの精度を高め、より踏み込んだ提案を行っていけるよう注力しています。その例として、既存の加工と異なる加工方法を当社の工具と組み合わせて能率良く精度を向上させるのはもちろんのこと、経済効果を高めるための画期的な加工方法のご提案も行っていきたいと考えています。

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 現在は、東日本テクニカルセンター(埼玉県さいたま市)に所属する5名の専任スタッフにより毎月約10件の解析ソリューションを提供しており、これからも増員を進めていく予定です。また、近年は中部圏のお客様からのご依頼も増加しています。今後は、昨年設立した国内2番目の技術サポート拠点である中部テクニカルセンター(岐阜県安八郡)での対応へと拡大し、スピーディーな対応ができる体制づくりを進め、さらにその後は、海外のサポート拠点での実施も視野に入れています。技術サービス、解析、切削試験を総合して取り組むことで、加工条件の最適化に向けた“提案の質”が高まり、お客様にとって本当に役立つトータルソリューションが提供できると考えています。全世界のお客様に対し、今後も切削工具の総合的なソリューション提供力を強化して参ります。

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開発本部 加工技術センター ソリューショングループ 王 偉, 開発本部 加工技術センター ソリューショングループ 小坂 晴美
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