CRAFTSMAN STORY

高硬度鋼旋削加工用コーテッドCBN材種「BC81シリーズ」

高性能、長寿命なCBN材種を開発した超高圧チームの挑戦

BC81シリーズ(BC8110、BC8120)の開発に着手したのは、2011年。他社を凌駕する高硬度鋼用の新しいCBN材種シリーズを開発するためには、これまでにない新技術の開発が必須であった。そんな一つの目標に向かい取り組んだ、開発、製造のスタッフ6人に話を聞いた。

―開発の背景について教えてください。
油本:
近年、自動車や機械産業は成長傾向にあり、高硬度鋼部品の加工に対応するCBN(立方晶窒化硼素)工具の需要が高まっています。当社では、2010年に高硬度鋼汎用加工用コーテッドCBN材種 BC8020を発売したのですが、一部ツーリングでは他社製品に劣る場合がありました。その悔しさを胸に、新技術を駆使し開発したのが、高硬度鋼加工用コーテッドCBN材種 BC81シリーズです。

―BC8110の開発について教えてください。
油本:
BC8110は高硬度鋼連続加工用コーテッドCBN材種として開発しました。開発を進める上で大切にしたのは、「お客様が何を求めているか」に徹すること。技術優先ではなく、ユーザー目線での製品開発をチーム全体で心がけることで、ブレずに同じ目標に向かうことができました。
前川:
開発を始める上ではまず、他社製品と比べ「何を改善すべきか」を徹底的に追求しました。見えてきたのは耐摩耗性と耐チッピング性の改善です。そこで開発コンセプトを「優れた耐チッピング性を有するCBN母材と、圧倒的な耐摩耗性を有するコーティング」としました。

―実際の開発はどのように行いましたか?
油本:
まず『耐チッピング性に優れたCBN母材』を開発するため、ひたすらCBN母材の靭性の改善に取り組みました。ただ、CBN焼結体というのは他社の材種も同じような組成をしており、普通に作っていては、結局同様の性能になることが目に見えていました。そこで、他社を凌ぐ靭性を発揮するために、生み出したのが新技術『超微粒バインダー』でした。この技術によりBC8110のバインダーは、従来の自社品・他社品よりも非常に細かくなり、セラミックスバインダーの靭性改善に成功。その結果、非常に高い耐チッピング性を確立できました。
前川:
母材開発に続き、壁となったのが『圧倒的な耐摩耗性を有するコーティング』の開発でした。一般的に、CBN工具は超硬工具に比べ、コーティングが付着しにくい。そのため付着強度と耐摩耗性を両立するためにはどうするか。さまざまな検討を重ねた結果、当社のミラクルコーティングの技術をCBN工具用にアレンジすることを目指しました。アレンジと言っても、超硬工具とCBN工具ではコーティングの付き方が全く異なるため、その適正条件を見つけるためには気が遠くなるほどのトライ&エラーの連続でした。また、製造においても新規設備を導入し、コーティングの後に新たな工程を追加しました。工程が増えることはデメリットもありますが、求める性能を引き出すためには、製造工程からの見直しが必要でした。
岡田:
製造担当としては、正直、工程を増やすことで変わるのか ? という疑問はありました。しかし、その必要性を熱心に説明する姿を見たら、やはり相手を信じてやるしかない。結果として、まだまだ改善の余地はありますが、良い成果につながりました。
安田:
製品テストの段階では、お客様にご協力いただき、何度も実地テストを行いました。このとき、お客様に新しい着眼点を提案したことで、他社製品よりも高く評価していただき、結果、工具寿命を延ばすことに成功しました。
前川:
テストにご協力いただいたお客様には、発売前から特殊品でも良いので売って欲しいとご依頼され、現在でも継続して多くの受注をいただいています。発売前からここまで高い評価をいただいたのは、印象深い出来事でした。

— 続いて、BC8120の開発について教えてください。
油本:
BC8120は2010年に発売した高硬度鋼汎用加工用コーテッドCBN材種 BC8020の後継材種になります。BC8020は、連続切削ではコーティングの剥離による寸法精度の劣化、断続切削ではチッピングしてしまう事例が一部で発生していました。BC8120ではこれら課題を解決し、また他社よりも断続性能に優れる材種の開発を目指しました。
安田:
BC8020が一部ツーリングでは他社製品に劣る場合があったので、次の製品開発に4、5年もかけていたら、さらに後れをとってしまいます。そのため、短期間での開発が必須。実際に、約1年でCBN母材、コーティングの改良を行いました。
油本:
CBN母材は、耐欠損性の改善が必須でした。BC8110で開発した『超微粒バインダー』の技術をBC8120のCBN母材にも適用すれば、ある程度靭性が向上するのではないかと思いましたが、簡単にはいきませんでした。時間が限られていたため、休日出勤などをしながら、何度も試作を繰り返し、『超微粒バインダー』を適用したBC8120専用CBN母材の開発に成功しました。
前川:
コーティングは、剥離の抑制が課題となりました。開発は、膜構成の検討からスタート。さらに、付着強度を向上するために、残留応力を制御する新しい技術を適用しました。これによって従来以上の付着強度を実現しました。

―BC81シリーズで製造においての工夫はありましたか?
小寺:
新材種であるため、まずは徹底的に材料を理解してから加工方法を探っていきました。また、従来の生産を維持しながら、テスト品を短納期で製作するのに非常に苦労しました。
油本:
小寺さんはスペシャリストなので、普通の人の3倍の速さで作ってくれます。だから、どうしてもお願いしてしまうんです(笑)。製造スタッフに小寺さんのような存在がいることが製品開発の大きな支えになっています。
小寺:
私だけの力でなく、他の製造スタッフも協力してくれた結果です。超高圧チームのスタッフは本当に団結力があって、困っていると聞くと、つい助けてあげたいと思うんです(笑)。
窪田:
現場からすれば、お客様が喜んでくれている、待っているという言葉が製造の現場まで降りてくるので、頑張らないとと思うんです。今振り返れば、「超高圧の良い製品を作りたい」という思いが部署や役割を超えた団結力を生み、互いの信頼関係があったからこそ実現した製品だと思います。

―お客様に向けてメッセージをお願いします。
油本:
BC81シリーズは、苦労した分、絶対的に自信のある製品です。積極的に立会い切削テストやPRを進めていきますので、ぜひ一度お試しください。
前川:
本年度は、高硬度鋼超仕上げ加工用コーテッドCBN材種 BC8105、高硬度鋼断続加工用コーテッドCBN材種 BC8130を発売予定です。さらなる開発に注力していきますので、今後の製品展開にもご期待ください。

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