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材料・コーティング開発で航空機産業を支える研究拠点

中央研究所薄膜材料研究部

材料・コーティング開発で航空機産業を支える研究拠点

中央研究所薄膜材料研究部

切削工具の飛躍的な性能向上を目的に、新たな材料やコーティングの研究開発に取り組む三菱マテリアル 中央研究所 薄膜材料研究部。最先端の研究開発の現場をレポートする。

高度な分析・評価技術を基盤とし、 先駆的な研究開発に取り組む

 日本初の民間研究機関として1917年に品川に設立された三菱マテリアル 鉱業研究所。埼玉県大宮市(現さいたま市)への移転を経て、2007年に茨城県那珂市に拠点を構えるとともに、大宮、小名浜、北本に3支所を置く中央研究所として新たにスタートし、今年創立100周年を迎えました。薄膜材料研究部は、中央研究所の中で最も多くの研究員が在籍しています。硬質焼結材料や機能性コーティングの組成、組織や界面等をナノレベルで制御し、従来にはない新機能を発現させるなど、新材料の開発を行っています。同研究部の部長である大鹿高歳は、中央研究所の強みを次のように語ります。「日本に数台しかない分析機器など、最新鋭の設備を導入し、それらを高度な技能で使いこなす優れた研究者が多くいることが強みでしょう。また、中央研究所には当部以外にも、材料解析や電子材料などさまざまなテーマに取り組む9つの研究部があり、お互いの多様な技術を素早く連携、応用できるシナジー効果こそが、複合事業体である三菱マテリアルならではの強みといえます。実際に、世界最薄の温度検知センサー『フレキシブルサーミスタ』など、異なる事業の技術が融合された新製品が次々と生み出されています」。

 高耐摩耗Al2O3層技術を含む先進技術を取り入れ、既存製品に比べ寿命を大幅に向上させた鋳鉄旋削加工用CVDコーティング材種「UC5105/UC5115」などの革新的な製品に適用される要素技術を送り出してきた薄膜材料研究部。「現在はCFRP加工用PCDドリルの要素技術の研究にも取り組んでおり、すでに基本的な材料設計は完了しています。また、CFRP加工用のCVDダイヤモンドコーティングの研究も同時に進めており、実際の製品に対する早期適用を目指しています」。さらに、革新的な技術開発に向け積極的に挑戦していると大鹿は語ります。「例えば、素材の粒子をある大きさまで微小にすることでコーティングの強度が2倍になったとします。しかし、現在の装置では粒子をそれ以上小さくすることができない場合、必然的に装置そのものを大幅に改造しなければなりません。それが、結果として、世界にたった一台しかない装置を保有することにつながります。このように付加価値の高い設備を自らつくり出し、使いこなすことで、革新的なマテリアルの創出が可能になるのだと信じています。例えるなら、某野球漫画の投手が投げる魔球のようなものでしょうか。投球技術を高めてカーブやシュートの切れ味に磨きをかけるのではなく、目の前で球が消えるなど、今まで誰も見たことのない魔球を目指して、常に挑戦し続ける。それが、私たち薄膜材料研究部が描く未来です」。

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CFRP加工用の CVDダイヤモンドコーティングの開発

 入社20年目の藤原和崇は10年前に中央研究所に配属となり、5年ほど前から切削工具用CVDダイヤモンドコーティングの研究開発に取り組んできました。藤原は、この仕事の面白さを次のように語ります。「研究所は、製作所の開発部門と比較すると、お客様との距離が少し離れています。そのため、私はお客様と接点を多く持ち、その想いをよく知る製作所の開発陣との連携を普段から密に取るように意識しています。その想いをしっかりと理解した上で、研究所にしかできない原理原則を地道に追究し、新たな仮説や真実を見出しています。その成果が、最終的に製品の飛躍的な性能向上につながります。自分たちが生み出した新技術を適用した製品が市場から評価を得ていることを間接的にでも聞くことができたときは本当に嬉しいです」。そんな藤原が現在力を注いでいるのが、航空機の機体などに使われるCFRP加工用工具のCVDダイヤモンドコーティングの研究開発です。「当社ではこのコーティングを被覆したドリルやエンドミルの製品をすでにリリースしているのですが、現在はそれらの既存製品に対して、大幅な性能向上を目指した新コーティングの研究に取り組んでいるところです」。

オンリーワンの新技術を開発し、その技術を適用した新製品を送り出したい

 航空機の部品にはCFRPのみならず、CFRPとアルミニウム、またはチタンといった複合素材が組み合わさった材料も使用されます。異なる素材を同一の工具で一度に加工するため、工具側に求められる性能はより一層厳しくなり、同じCVDダイヤモンドコーティングであったとしても、非常に高いレベルが要求されます。「CFRP単体の加工であれば、基本的にはダイヤモンドの比率が高ければ高いほど、つまり硬ければ硬いほどコーティングとしての性能は向上します。逆に、アルミニウムやチタンなどの金属では、ダイヤモンドの比率を上げていくと、被削材と反応して工具への溶着などが発生しやすくなり、加工精度が低下する上、工具寿命も短くなります。このような相反する課題を同時に解決し、異なる被削材において同一のコーティングで優れた性能を示し、工具寿命の大幅な延長を図ることが、今回のCVDダイヤモンドコーティング開発における最大の目的です」。藤原が目指すのは、『既存製品比3倍』の工具寿命を実現するCVDダイヤモンドコーティング。早期市場投入を目指し、チーム全員で一丸となって研究開発に励んでいます。「私たち中央研究所のミッションは、これまでにない先進的な技術を生み出すこと。三菱マテリアルだからこそできるオンリーワンの新技術を開発し、その技術を取り入れた製品で世界のお客様にワクワクをお届けしたいです」。


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